商業簿記
第2問
1. 個別論点(株主資本等変動計算書)
2. 個別論点(有価証券)
3. 個別論点(銀行勘定調整表)
第2問は第1予想として株主資本等変動計算書をあげました。
株主資本等変動計算書は138回に初めて2級に出題され、142回、145回に出題されております。
145回に出題されて少し間隔が空いているため要注意です。
株式の発行、合併、剰余金の配当(利益剰余金、その他資本剰余金を財源とした場合)、計数の変動等の仕訳を確認するとともに、株主資本等変動計算書の記入についてもしっかり確認しておきましょう。その際、剰余金の配当だけではなく、損失の処理の場合も確認しておきましょう。
また、145回ではその他有価証券評価差額金も出題されました。
ですから、その他有価証券評価差額金がある株主資本等変動計算書の問題も試験までに一度解いておきましょう。
また、そのとき、税効果会計を絡めて出題される可能性もあります。
ですから、その他有価証券の時価評価で税効果会計が適用される場合の仕訳もしっかり確認しておきましょう。
株主資本等変動計算書の当期末残高の金額が当期末の貸借対照表の金額になりますので、貸借対照表の一部を作成するという問題が出題された場合は当期末の金額をそのまま記入しましょう。
また過去に出題されたときは解答用紙の単位が千円でした。
求められている解答は千円なのに円で解答を記入すると、株主資本等変動計算書の問題はほぼ全滅になります。そうなると、合格できる確率が極めて低くなります。たった、1つのミスで不合格ということになります。ですから、解答用紙に記入するときは単位にも必ず注意してください。
第2予想として有価証券をあげました。
有価証券は141回、148回に出題されています。
1年前の2月検定(148回)に出題されているため、今回の出題はないだろうと思っている方もいるかもしれませんが、直近に出題された内容が間隔をおかずに再び出題されるという事例が頻出しております。
ですから、下記の事項についてしっかり確認しておきましょう。
社債の購入、売却の際の端数利息の計算、異なる単価の株式を取得したさいの平均原価法、満期保有目的債券の期末評価(償却原価法)、未収利息、株式を所有することによる受取配当金などの一連の取引から貸借対照表と損益計算書の一部の作成、決算整理後残高試算表の作成などの問題が予想されます。
出題内容が改正されて、新たに2級の出題範囲に追加されたその他有価証券、子会社株式、関連会社株式についてもしっかり確認しておきましょう。
なお、以下の事項についてもテキスト等でしっかり確認しておきましょう。
・満期保有で保有する社債で、貸借対照表日より1年以内に償還日が到来する社債は有価証券として表示
・満期保有で保有する貸借対照表日より1年を超えて償還日が到来する社債は投資有価証券として表示
・売買目的有価証券で前期末に時価評価したあとに売却した場合、洗替法、切放法の場合の有価証券の帳簿価額の金額
・その他有価証券で前期末に時価評価した場合の当期末の帳簿価額
・有価証券運用損益とは?
・子会社株式、関連会社株式で計上されるときはどういうときか?
・決算整理前残高試算表の有価証券利息はどういう過程でその数字になっているのか?
・その他有価証券評価差額金、有価証券評価損益、有価証券売却損益は純額主義で表示される
以上の事項についてはテキスト等で必ず確認しておきましょう。
第3予想として銀行勘定調整表をあげました。
銀行勘定調整表は134回、137回、146回に出題されています。
146回に出題されてから少し間が空いているため、そろそろ出題されてもおかしくありません。
不一致の原因や銀行勘定調整表の作成についてテキスト、問題集等でしっかり確認するとともに、3級の現金過不足についてもしっかり確認しておくようにしましょう。
また、銀行勘定調整表と合わせて理論問題が出題されることも予想されます。
理論問題では語句問題や○×問題などが考えられます。
理論問題は今まで2級で出題されたことはありませんので、戸惑う受験生もいるかもしれませんが、テキスト等でしっかり基礎・基本が身に付いていれば、それほど難しくありません。
問題演習ばかり繰り返し行うだけではなく、テキスト等もしっかり読むなどして学習を進めるようにしましょう。
最後に個別論点が出題された場合、勘定記入が問われる場合があります。
これまで日商簿記検定試験では勘定記入が問われる場合、標準式が多かったのですが、141回では珍しく残高式の勘定口座が出題されました。
総勘定元帳の勘定記入は簿記を学習する上で基本中の基本になります。
標準式だけでなく残高式の勘定記入の練習も試験までに必ず一度はしておきましょう。
なお、勘定記入は3級の範囲になりますので、忘れている方は3級のテキストでしっかり確認しておきましょう。
また、140回の第2問では伝票が出題されました。
伝票の管理・集計は3級の範囲になったため出題の可能性は低いですが、もし出題された場合、しっかり対策を講じておけば、高得点を狙える問題です。ですから、万が一、伝票が出題されたら満点を取れるようしっかり対策を講じておきましょう。
第2問では、これまでの問題集に載っていないような問題が出題される可能性がありますが、それらの問題はしょせん基礎を寄せ集めたものです。
テキスト等でしっかり基礎・基本の徹底を図っておきましょう。
問題演習を繰り返しおこなうことも大切ですが、なぜ、そのような仕訳になるのかしっかり意味を考えながら問題演習をおこなうようにしましょう。
第3問
1. 連結財務諸表の作成
2. 財務諸表(損益計算書の作成)
3. 財務諸表(貸借対照表の作成)
第1予想として、連結財務諸表の作成をあげました。
147回(29年11月検定)から2級の出題範囲に追加されましたが、早速、147回では第2問で出題され、148回(昨年の2月検定)では第3問で出題されました。
出題範囲に追加されて早速、2回連続で出題されており、今後、日商簿記2級の重要論点になることを予感させます。
また30年6月検定からアップストリームが新たに出題範囲に追加されました。
前回の11月検定では第2問で連結会計(アップストリーム)の仕訳1問が出題されました。
これは今回(151回)で「アップストリームを絡めた総合問題を第3問で出題するぞ」という布石とみることもできます。
したがって、今回、連結会計(アップストリームも含めて)は非常に要注意です。
開始仕訳(投資と資本の相殺消去)、のれんの償却、子会社の当期純利益の非支配株主持分への振替、子会社の配当金の修正、内部取引高と債権・債務の相殺消去(アップストリームも含めて)などの連結修正仕訳をテキスト等でしっかり確認しておくとともに、連結財務諸表の作成も問題集等でしっかり練習しておくとともに、連結1年度末だけではなく、連結2年度末(特に開始仕訳)についてもしっかりできるようにしておきましょう。
また、148回では連結精算表の作成が出題されましたので、連結精算表についても合わせて確認しておきましょう。
第2予想として財務諸表(損益計算書の作成)をあげました。
137回、140回、143回、147回に損益計算書の作成が出題されております。
前回、貸借対照表の作成が出題されましたので、今回は損益計算書の作成をあげました。
ですから、試験までに一度解いておきましょう。
貸倒れの個別評価、返品調整引当金繰入と売上割戻引当金繰入の表示区分、ソフトウェアの償却(期中に除却した場合も)、減価償却費の見積計上額と確定額が違う場合、退職給付費用の見積額と確定額が違う場合、経過勘定(前払費用から費用への振替え、前払と未払の違い、前受と未収の違い)、役務収益と役務原価の計上、商標権、特許権など償却などについてはしっかり確認しておきましょう。
また、昨年度から課税所得の算定、外貨換算会計が出題範囲に新たに追加されました。
昨年度の試験では、第3問で外貨換算会計では外貨建金銭債権債務について決算日レートで換算替えするという問題が早速、出題されました。今回も引き続き出題される可能性がありますので、テキスト等でしっかり確認しておきましょう。
また今回、法人税等(法人税、住民税及び事業税)を計算する際に税引前当期純利益から課税所得に修正し、法人税等を計算させるという問題も予想されます。
課税所得の算定についてもテキスト等でしっかり確認しておきましょう。
また、その他にもサービス業の損益計算書の作成問題の出題も予想されます。
サービス業の損益計算書の作成問題は出題範囲に追加されてからまだ一度も出題されていませんので要注意です。ですから、試験までに一度は必ず解いておきましょう。
第3予想として財務諸表(貸借対照表の作成)をあげました。
138回、139回、142回、145回、150回に貸借対照表の作成が出題されております。
前回に出題されているため、今回の出題はないだろうと思っている方もいるかと思いますが、過去に予想に反して2回連続で貸借対照表の作成が出題されたことがありますので要注意です。
有価証券の評価替え(売買目的、満期保有、その他有価証券)、銀行残高と帳簿残高の不一致事項、期末商品実地棚卸高、前受金の計上(例、検収基準を採用して場合に出荷した時点で現金売上している場合の訂正仕訳など)、1年基準での流動項目・固定項目の分類(貸付金・借入金・定期預金・前払費用)賞与引当金の追加計上、未払消費税・未払法人税の計上などについてテキスト、問題集等でしっかり確認しておきましょう
また、この149回(30年6月検定)から新しく出題範囲に追加される税効果会計についても出題される可能性があります。
ですから、試験までに税効果会計についても仕訳、表示方法などについてもしっかり確認しておきましょう。
1つ気になるのがこの149回(30年6月検定)から新しく出題範囲に追加された「製造業の決算整理」です。従来、決算整理の問題は商品売買業が前提でした。
それに対して、149回から新しく2級の出題範囲に「製造業の決算整理」が追加されました。出題される可能性は低いと思われますが、出題される可能性はゼロではありません。
ただ、万が一出題されたとしても受験生に配慮し、基礎・基本問題になる可能性もあります。
ですから、基礎・基本で十分ですので、念のためテキスト等でしっかり基礎・基本を確認しておきましょう。
第4問
1. 個別原価計算(勘定記入)
2. 製造原価報告書・損益計算書の作成
3. 部門別原価計算
第1予想として個別原価計算の勘定記入をあげました。
個別原価計算は120回、127回、128回、132回、138回、143回と出題されております。
143回に出題されてから、少し間隔が空いているため要注意です。
仕掛品勘定、製品勘定の作成もしくは損益計算書の作成の出題が予想されます。
また、143回では製造間接費の差異分析も問われました。
最近、製造間接費の差異分析は頻出論点の1つですので、変動予算、固定予算ともにテキスト等でしっかり確認しておきましょう。
第2予想として製造原価報告書・損益計算書の作成をあげました。
製造原価報告書は118回、121回、134回、137回に出題されております。
そのなかで注意をしたいのは個別原価計算との絡みです。個別原価計算は143回に出題されておりますが、118回では個別原価計算と製造原価報告書をミックスした問題が出題されました。
ですから、118回は試験までに一度解いておくとともに、127回、128回の問題で各自、製造原価報告書を作成してみるとよいでしょう。
勘定記入と財務諸表を関連付けて学習することが大切ですので、今一度テキスト等で確認しておくようにしましょう。
また、材料、賃金、経費の消費額の計算がしっかりできること、直接費と間接費の分類、さらに間接費は間接材料費、間接労務費、間接経費の費目別の分類などをできるようおきましょう。
また、製造原価報告書の製造間接費配賦差異の処理方法、損益計算書の原価差異の処理についても確認しておきましょう。
第3予想として部門別原価計算をあげました。
部門別原価計算は116回、123回、129回、130回、135回、139回、145回と出題されております。
145回に出題されてから少し間隔があいているため要注意です。
ですから、試験までに対策を講じておく必要があります。
部門別原価計算は補助部門費の配賦(直接配賦法、相互配賦法)、差異分析、勘定記入が出題されます。
その中でも123回に出題された総括配賦率、部門別配賦率については、今回はしっかり確認しておく必要があります。
また、部門別原価計算は個別原価計算だけではなく、総合原価計算でも適用されます。その場合は加工費の部門別計算になります。部門別計算をからめた問題が130回に出題されておりますので、一度解いておきましょう。
第5問
1. 標準原価計算
2. 総合原価計算(等級別)
3. 直接原価計算・全部原価計算
第1予想として標準原価計算をあげました。
標準原価計算は116回、120回、126回、127回、135回、143回、147回と出題されております。
また、140回と142回、146回の第4問で標準原価計算が出題されました。
標準原価計算は最近、出題の頻度が上がっておりますが、148回以降は出題されていませんので出題の可能性が高まっています。
また最近では第4問でも出題されており、今回も過去同様、第4問で出題される可能性もあり、非常に要注意です。
従来、標準原価計算は差異分析を中心に出題されることが多かったのですが、126回では仕掛品勘定と損益計算書の作成、127回では原価標準、直接材料費等の総差異、標準消費量を求める問題が出題され、126回、127回は今までと少し違う出題内容の問題でした。
また、141回第4問で出題されたとき、これまでの出題と異なり仕訳問題で、なおかつシングル・プランが出題され、143回第4問でも勘定記入ではなく仕訳問題が出題されました。
ですから、勘定記入だけでなく、仕訳も書くことのできるようにしっかり練習しておきましょう。
対策としてパターン学習に陥るのではなく、原価標準、勘定記入、差異分析等についてしっかり確認するとともに、パーシャル・プラン、シングル・プランの場合の勘定記入と仕訳もできるようにしておきましょう。
第2予想として、総合原価計算(等級別)をあげました。
総合原価計算は128回に等級別、129回に組別、130回に単純、131回に工程別、137回に組別、138回に単純総合原価計算、140回に等級別総合原価計算、143回に工程別原価計算、144回、146回に単純総合原価計算、148回に組別総合原価計算、149回に工程別総合原価計算が出題されております。
総合原価計算は第5問では一番出題率の高い論点ですので十分、対策を講じておく必要があります。
その中でも等級別総合原価計算を確認しておきましょう。
また、仕損・減損の計算方法もしっかり確認しておくとともに、「平均的に投入」、「工程の終点で投入」、「途中で投入(105回に出題)」、評価額がある場合の計算方法についても試験までに一度確認しておきましょう。
第3予想としてCVP分析(直接原価計算)をあげました。
直接原価計算は124回、134回、136回、139回、141回、145回、149回(第4問)、150回に出題されております。
また前々回(149回)の第4問で直接原価計算が、前回(150回)の第5問でCVP分析が出題されております。
前々回、前回と連続で出題されているため、今回の出題はないだろうと考えている方もいると思いますが、過去には予想に反して出題されたこともあります。
特に直接原価計算、全部原価計算の損益計算書の作成についてはしっかり確認しておきましょう。
また、前回、CVP分析が出題されておりますが、基本事項である損益分岐点売上高(販売量)、目標利益を獲得するための売上高(販売量)や安全余裕率などについては念のため確認しておきましょう。
また、単位当たりの販売価格、単位当たりの変動費や固定費の金額が資料より変更になるという問題も過去に出題されたことがありますので、そういった問題も試験までに一度は解いておくようにしましょう。
また、高低点法にて単位当たりの変動費と固定費に分解したあと、CVP分析させるという問題も予想されます。そういった問題の場合、最初の時点で計算間違いなどのケアレスミスをしてしまうと全滅という結果になりますので、本試験では必ず計算間違いしていないかどうか見直しをしながら次の問題に進むようにしましょう。
またCVP分析と絡めて、直接原価計算と全部原価計算の損益計算書の作成も出題される可能性があります。テキスト等でしっかり確認しておきましょう。